無口なカレとの甘い恋
ま、マズイよ、この距離は……。
顔がカーッと赤くなるのが自分でも分かった。
「前にタバコの輪を教えてくれた先輩ってさっきの奴か?」
「あっ……うん。そうだよ、伊織君」
海星君の言う通り、タバコの煙で初めて輪っかを見せてくれたのは伊織君だった。
前に屋上で話したこと、覚えていてくれたんだ。
そんな些細なことがちょっぴり嬉しい。
「お前、あいつのことどう思ってんの?」
「えっ?さっきもいったけど、伊織君はお兄ちゃんみたいなものだよ。小さい頃は一緒にお風呂にも入ったし同じベッドで寝たこともあるし」
「小さい頃っていつの話してんだよ。2、3歳か?」
「違うよ。小学生の高学年ぐらいまで」
「……は?」
無表情だった海星君の顔が徐々に険しくなっていく。