星が瞬く夜に。
プロローグ
「ねぇ!ちょっと待ってよ!お姉ちゃんってば!」
「早くしないと遅刻よ!早くしなさい!」
あー!お姉ちゃんってば、早いんだから!
あ、私は玉井郁美(たまい・いくみ)。
今日は中学の入学式。
それなのに!
今朝、思いっきり寝坊しちゃったんだ!
読んでいる本の続きが気になって、最後まで読んでいたら、まさか寝坊するとはね。
「郁美―!」
「あ、はーい!」
玄関で私を待つのは、私の双子の姉。
玉井郁恵(たまい・いくえ)。
綺麗な茶色いストレートヘアに、整った顔。
勉強も出来るし、スポーツも出来るし。
私の自慢の姉である。
私たちの両親は海外で仕事をしているため、私とお姉ちゃんは、2階建てのそこまで大きくない家で2人きりで住んでいる。
お姉ちゃんは家事全般得意。
だから、全てお姉ちゃんに任せている。
一方の私はというと。
黒髪ロングヘアに、ニキビを隠すための長い前髪。
成績悪いし、運動音痴。
いつもお姉ちゃんに頼りっぱなしの、出来ない妹。
まぁでも、私にはお姉ちゃんがいるから。
何も心配はいらない。
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