星が瞬く夜に。
プロローグ





「ねぇ!ちょっと待ってよ!お姉ちゃんってば!」

「早くしないと遅刻よ!早くしなさい!」



あー!お姉ちゃんってば、早いんだから!



あ、私は玉井郁美(たまい・いくみ)。

今日は中学の入学式。

それなのに!

今朝、思いっきり寝坊しちゃったんだ!

読んでいる本の続きが気になって、最後まで読んでいたら、まさか寝坊するとはね。




「郁美―!」

「あ、はーい!」



玄関で私を待つのは、私の双子の姉。

玉井郁恵(たまい・いくえ)。

綺麗な茶色いストレートヘアに、整った顔。

勉強も出来るし、スポーツも出来るし。

私の自慢の姉である。



私たちの両親は海外で仕事をしているため、私とお姉ちゃんは、2階建てのそこまで大きくない家で2人きりで住んでいる。

お姉ちゃんは家事全般得意。

だから、全てお姉ちゃんに任せている。



一方の私はというと。

黒髪ロングヘアに、ニキビを隠すための長い前髪。

成績悪いし、運動音痴。

いつもお姉ちゃんに頼りっぱなしの、出来ない妹。



まぁでも、私にはお姉ちゃんがいるから。

何も心配はいらない。





< 1 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop