星が瞬く夜に。
途中、とまったはずの涙があふれてきて、話が途切れてしまうこともあったけど。
榊くんは、うなずきながら聞いてくれた。
「ゆっくりで良いよ、郁美」
優しい言葉と共に頭をなでてくれるから、私も安心して話せた。
「・・・そっか」
「優しいお姉ちゃんと、奪おうとするお姉ちゃん、どっちが本当のお姉ちゃんなのかな?」
「・・・あくまで俺の意見だけどね」
前置きして、榊くんは話し出した。
「俺はどちらのお姉さんも、本当だと思うんだ」
「・・・え?」
「お姉さんの本心は、もう誰にもわからない。
お姉さんは死んでしまったんだから。
だからハッキリと断言できるわけではない。
お姉さんが死んだ直後、郁美はお姉さんに生きてって言われたんだよね?」
「・・・うん」
「多分、それがお姉さんの本心だと思う。
生きてと言ったのに、郁美の“幸せ”を奪おうとするなんて俺には思えないんだ。
大切な妹の“幸せ”を奪おうとするお姉さんを、郁美は信じられる?」
私は首を横に振った。
お姉ちゃんがいつも誰かのために生きていたこと、私は知っている。
“幸せ”を奪おうとするなんて・・・信じられない。