星が瞬く夜に。
「郁美は、お姉さんが好きなんだよね?」
私は力強くうなずく。
大好きで大切だった・・・私のお姉ちゃん。
嫌いになることなんて、あり得ない。
「郁美の信じるものを信じれば良い。
郁美から“幸せ”を奪おうとするお姉さんを信じるのなら、信じれば良い。
郁美をいつも守ってくれたお姉さんを信じるのも良い。
・・・郁美が信じたいものを、信じれば良い」
私が信じたいものを、信じれば、良い。
そう思った瞬間、私に重く乗っていた何かが、スゥッと抜けた気がした。
「言っちゃうけどね、郁美」
「ん?」
「死んでしまった人間が、どうやって“幸せ”を奪うわけ?」
「・・・あ」
「俺と釣り合う釣り合わない以前に、どうやってお姉さんと会うわけ?」
「・・・」
「大体お姉さん・・・俺の気持ちは無視かよ」
確かにそうだ。
私は何を悩んでいたんだ。
お姉ちゃんは死んでしまったんだ。
私から何も、奪えないではないか。