星が瞬く夜に。






今まで気が付かなかった私は、思わず笑いだす。

静かなリビングに、笑い声が響いた。




「郁美、俺ね」

「うん?」

「郁美のことが好きだったんだよね」




・・・は?




「・・・今、なんと?」

「だーかーら。
俺、郁美のことが好きだったんだよね」




私のことが、好き“だった”?

どうして過去形・・・?




「俺、彼女出来たからね」

「・・・え?」




先ほどの笑い声が、全て水の泡と化した。





「転入した時は郁美が好きだったんだけど、俺今は郁美のこと、なんとも思っていなくてさ」



ハハッと、嘘偽りない笑顔で彼は笑う。

一気に、私の体温が下がって行く。



「最後にね、お別れを言いに来たんだ」







< 120 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop