星が瞬く夜に。
つまりそれは・・・。
「事件の中身を知りたかっただけなの・・・?」
「そういうことになるね」
それだけのために・・・?
私に近づいたの・・・?
「知るためにはまず近づいて仲良くならなくちゃ。
それなのに郁美は冷たい態度とりやがってさ。
このままだと真相に辿り着けないからさ、俺は郁美に優しくしたの。
そうしたら郁美は簡単に俺に心を開いて、話してくれた。
沢山聞けたよ、事件の中身がね。
郁美から聞いた真実もあったしね。
これをマスコミとか新聞社に送りつけたら、俺はたちまち億万長者になれるかもな」
楽しそうに笑う榊くんの言うことは、真実なの・・・?
「ゴメンネ騙してて。
お詫びにマスコミとかに送りつけたりはしないから」
「・・・信じられないよ」
「なら信じなければ良い。
信じたいものだけ、信じれば良い」
「・・・さかっ・・・きくん・・・」
冷たい言葉に、涙が出てくる。
私・・・榊くんに出会って、何回泣いただろう?
「じゃあね、“玉井さん”」
玄関の扉が、静かに、閉まった。