星が瞬く夜に。







「僕は別に今では輝流を恨んでいない。
走れなくなったからと言って、僕の人生が終わるわけではない。
僕は今また、新しい夢に向かって勉強している。

輝流のこと、恨んでいないし、憎んでいない」

「・・・」



瑛士さん・・・優しい・・・・。



「知ってほしかったんだ、輝流のこと。
だから以前から奈々子に言っていた。

もし輝流に彼女が出来たなら、連れてきてほしいって」



そうだったんだ・・・。



「でも輝流は一切彼女を作らなかった。
その上、親しい友人を作ろうともしていなかった。
僕をこんなにしたこと、気にしているのかなって、僕も奈々子も気になっていた。

でもある時、輝流に親しい女の子がいるって奈々子に聞いた」

「それが郁美ちゃん、あなたよ」



私・・・?



「郁美ちゃんと話す輝流は、本当に楽しそうだった。
でもその半面、あたしは怖くなった。

瑛士のように、何か大切なモノを失わないかって・・・。

だからあたしは郁美ちゃんにこれ以上輝流に近づかないよう彼女のふりをした。
輝流にも郁美ちゃんを傷つけない自信があるか聞いた。
輝流は自信がないって言っていた。

あたしは輝流に薦めたの。
郁美ちゃんを傷つけない自信がないのなら、別れるべきだって。

でもいきなり仲の良かった人から冷たくされると郁美ちゃんが不審がると思って、冷たい言葉を並べて突き放したって輝流は言っていたわ」



あれは・・・

榊くんの優しさだったんだ・・・。







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