星が瞬く夜に。






俺は高校進学を諦め、家にいた。

それを心配した両親は、俺に高校へ行くよう薦めた。



試験を受け、合格はした。

でも、誰かと関わるつもりなんて、一切なかった。




「榊輝流です」


めんどくさいと思いながら自己紹介をした。

すると。



〈寂しいな・・・〉


色々な本音が聞こえる中聞こえた、弱い声。

俺はその声が気になった。

言っている人を探そうと思った。




席替えをして、俺は女子の隣になった。

本に顔を埋めて、とっつきにくそうな女子。



〈・・・寂しい〉



・・・この子だ、言っているのは。

どうしてこの子は・・・寂しいと呟くのだろう。

今にも消えそうで泣きそうな声で・・・。




〈ひとりぼっちは嫌なの・・・〉



その子・・・郁美の本音は、常に泣いていた。

この子・・・不器用なんだな。

自分で素直に白状できないんだ・・・寂しいってこと。







< 155 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop