星が瞬く夜に。
「片方しか愛さないなんてことはあり得ないわよー」
「じゃあどうしていつもお姉ちゃんばかり気にしていたの?」
「あらぁー?たまたまじゃないかしら?」
「それか郁(いく)さんじゃないか?
郁さんは郁恵を可愛がっていたからな」
郁さん?
誰だそれ。
「郁はわたしの双子の姉よ。
郁は郁美より郁恵を可愛がっていたの。
わたしの血を継いでいるんだーとか言ってたわね」
お母さん、双子だったの!?
お姉ちゃんと私たち・奈々子さんとミリア以外にも身近に双子がいたとは。
「郁はわたしが所属する事務所の社長よ。
初めて郁に郁恵と郁美を見せた時、郁恵ばかり可愛がってしまってね。
郁美ちゃんも可愛がれーって言ったんだけど、聞く耳持たなくて。
将来郁恵をモデルにするんだとか言っていたわね」
「ほら、これが郁さんだ」
お父さんは1枚の古い写真を見せてくれた。
そこに写っているのは、お母さんが2人。
「右が郁乃で、郁さんが左」
え・・・そっくり!
見分け付かない・・・。
「多分郁美ちゃんの印象に残っているのは、郁が郁恵を可愛がっているシーンなのね。
わたしもパパも、郁恵も郁美ちゃんも、両方可愛がっていたわよ?」
・・・なんだ・・・・そうだったんだ・・・・・。