星が瞬く夜に。





「家、どの辺?」

「もう少しだよ」



でも、私は疑問を気にしないことにした。

誰にでも、触れられたくない部分があるはずだから。

私も、お姉ちゃんについては触れてほしくない。

お姉ちゃんのことを知るのは、私だけだから。

父さんでも母さんでもおじいさんでもない、私だけ。

私に祖父母はいないからね。

親戚もいないし。




「ここだよ」

「大きな家だなぁ・・・」



私は、お姉ちゃんと過ごした家に住み続けていた。

お姉ちゃんとの思い出が詰まった家を、手放したくないから。

ここは、2人だけのお城だから。



「じゃあ、送ってくれてありがとうございます。
助かりました」

「気にしないで。じゃーな!」



明るく手を振って、榊くんは帰って行く。

ここから駅まで、約30分ほど。

そこから家まで、2時間。

遠いのに・・・。





ありがとう。

本当に、

優しいのね?





< 31 / 173 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop