星が瞬く夜に。
「家、どの辺?」
「もう少しだよ」
でも、私は疑問を気にしないことにした。
誰にでも、触れられたくない部分があるはずだから。
私も、お姉ちゃんについては触れてほしくない。
お姉ちゃんのことを知るのは、私だけだから。
父さんでも母さんでもおじいさんでもない、私だけ。
私に祖父母はいないからね。
親戚もいないし。
「ここだよ」
「大きな家だなぁ・・・」
私は、お姉ちゃんと過ごした家に住み続けていた。
お姉ちゃんとの思い出が詰まった家を、手放したくないから。
ここは、2人だけのお城だから。
「じゃあ、送ってくれてありがとうございます。
助かりました」
「気にしないで。じゃーな!」
明るく手を振って、榊くんは帰って行く。
ここから駅まで、約30分ほど。
そこから家まで、2時間。
遠いのに・・・。
ありがとう。
本当に、
優しいのね?