星が瞬く夜に。
「郁美!信号青だよ!渡っちゃおう!!」
少しだけ走り出した榊くん。
あの信号は・・・!
「行かないでっ!!!!」
私は近所迷惑なほど、大きな声で腕を引いた。
いきなり引っ張られた榊くんは、少し驚いたみたい。
ごめんね、それは謝ります。
でも・・・。
「行っちゃ駄目・・・」
その信号は、お姉ちゃんが・・・!
私はいつの間にか、涙を流していた。
震える両手で榊くんの腕を掴んでいるから、涙は拭わない。
ってか、拭えない。
止められる手がない涙は、そのまま流れ落ち、榊くんの制服に落ちて消えた。
「郁美・・・?」
「行かないで・・・渡っちゃ駄目・・・!」
私はそのまま、意識を失ってしまった・・・。