星が瞬く夜に。






榊くんが見ていたもの。

それは、

お姉ちゃんの仏壇だった。




「郁美、お姉さんいたんだ」

「・・・」



ばれた・・・。

ばれないようにしようと思ったのに。



「・・・どうして?」

「え?」

「どうしてお姉ちゃんだと思うの?」




さっき、インターフォンに出た時。

榊くんは迷うことなく『郁美?』と言った。

両親が出るとは思わないのか。



私と母さんは、声が似ていない。

父さんとも。

だから、間違えるということはない。




そして今。

榊くんはまた迷うことなく、「お姉さん?」と聞いた。

妹だと思うことはないのか。


確かに中身では私の方が抜けていたから、妹だと思われていた。

でもお姉ちゃんは黙っていれば童顔で、どちらかというと私の方が外見は大人っぽかった。

外見だけで判断すれば、私が姉だと思われることも少なくなかった。






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