星が瞬く夜に。
「郁美、全部聞こえていたよ」
「へっ!?」
「俺に話しかけてみようかな、とか」
「こ、声に出していたの!?」
「うん」
は・・・恥ずかしい!
「郁美。
いつまでも亡くなったお姉さんのこと、追い求めていたら駄目だと思う」
「えっ・・・」
「お姉さんのことを忘れてあげてもいけない。
だって郁美は、お姉さんのこと大好きなんでしょ」
「うん・・・」
「でも、いつまでもお姉さんがいればって思っちゃ駄目だよ。
郁美はこれから1人で生きるんだから。
お姉さんを追い求めていたら、郁美は何も出来ない人になる」
「・・・榊、くん」
「追い求めてもお姉さんがいないこと、郁美はもう受け止めているんでしょ?」
・・・確かに私は。
お姉ちゃんが死んだことを、受け止めてはいる。
さすがに駄目だと思ったから。
でも・・・。
私はお姉ちゃんから卒業できていない。
いつもいつも、お姉ちゃんがいればって思っている。
「わ・・・私・・・・」
「ゆっくりで良いんだよ。
少しずつお姉さんから卒業して、自立していけば。
人間、いきなり慣れるのは不可能だから」
「・・・わかった・・・・」