星が瞬く夜に。
私は立ち上がって、スカートに付いたごみを掃(はら)う。
そして、ケバ子さんに向かって頭を下げた。
「榊くんに近づいたつもりはないんですけど、誤解したならごめんなさい。
お詫びします。
榊くんの家に行ったのは、今日榊くんが風邪で学校を休んで、プリントを届けに来ただけなんです。
勘違いを招く行為をしてしまいました。
本当にごめんなさい。
でも私は榊くんなんて興味ないですから。
私は榊くんとクラスメイト以上の関係は築いていません。
だから、ご安心ください」
「・・・フーン・・・・。
まぁそんなに謝るのなら許してあげる。
これからは気を付けるのよ?」
「はい。それでは失礼いたしますね」
私は最高の作り笑顔をして、その場を去った。
暫く笑顔が顔に貼りついてしまったので、多分怪しい人に見られただろうな。
ねぇ、榊くん。
どうして嘘ついたの?
嘘・・・つかないでほしかったな。
もしかして、ずっと私に言うつもりだったことってこれ?
彼女がいるんだって話?
躊躇う必要なんてなかったと思うけど?
可笑しな人だね、まったく。
「・・・可笑しな人だよ・・・榊くんはっ・・・!」
私は電車を待つホームの人がいない隅っこの方で、声を殺して泣いた。
何故だかわからないけど。
涙はあふれて、止まらなかったんだ・・・。