Color
【高校生編】
梅雨が明けて暑い夏がやってくる、初夏の頃。
石橋悠紀(いしばしゆうき)は長い黒髪の少女と学校へと向かっていた。
黒髪、肌が白くてスタイルもいい。
かすかに桃の香りがする。
彼女は立花桜(たちばなさくら)。
いつも二人は一緒に学校へ行く。
小学生の時も、中学生の時も、そして今も。
二人は所謂、幼なじみという関係だった。
「暑いね……。悠紀は暑くないの?」
肩より下に垂れる長い黒髪を揺らしながら隣にいる悠紀に尋ねた。
二人はいつも仲良く会話しながら学校に歩いて向かう。
「なら歩いて行くのやめようか」
「それはやだ!」
「なんでだよ」
「二人で歩いて行くの。小学生の時からそうでしょ!」
悠紀と桜は幼なじみで、けれどお互いに恋をしていた――