偽りの姫…本気の恋
「大丈夫か千尋?
維澄!きったねぇよ〜」

おしぼりでドレスとテーブルを拭く

維澄さんをちょっとだけ睨みながら…

「だってさ〜修兄と千尋ちゃん
面白いんだよ!
さっきから全員が気づいてんのに
必死で繋いでる手隠して
結局、そのまま出したりして…
千尋ちゃんにしか聞こえないように
耳もとで喋ったりしてさ
さっき親父や俺を目で追う千尋ちゃんにヤキモチ妬いて自分の方
向かせるなんて…ねぇ
お姉さん達も気づいてんのに知らん顔はきっついよね〜」

維澄さんなんて可愛いお顔立ちだ事

「やめろ!維澄
何てこと言いやがる…お、
俺はヤキモチなんて妬いてねぇ」

ゆっくりと組長さんが近づいて
諭吉を何枚か修二さんに差し出して

「千尋ちゃんのドレス
維澄が汚した代わりに何か似合う
服を差し上げろ」

「いえっ、全ぜんっ大丈夫です」

立ち上がったら…繋がれた手を
じい〜っと見られて顔から
火がでそうなほど恥ずかしかった…

維澄さんが

「千尋ちゃん早くしないとお店に
帰って来れなくなるよ?」と
言うので

「あ、そうだね」と思わす答える

「修兄が行かないなら僕が選んでも
構わないって事?いいのお兄様」って
からかった

修二さんが立ち上がり

「後で覚えてろよ維澄!」と、
小さな声で言う

オーナーの卑呀に
「すいません千尋ちゃんのこと
ちょっとお借りします」と
頭を下げてから一緒に店を出る




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