偽りの姫…本気の恋
AM8:30

桜坂興業の電話は鳴る

「おはようございます。
いつもお世話になってます」

全ての電話の対応は俺の仕事

トラックの台数、作業員の数、
現場の進行表、営業マン達の
スケジュール管理、材料費、道具の用意
仕事相手との接待ゴルフの約束、

事務のオバちゃん達は

伝票整理、銀行への振込、受け取り
自転車で走り回ってくれている

それが少し落ち着くと…

今度は組から携帯に電話が入る

夜の見回りの順番や、場所の変更

気がつけば午後4時をまわっていた

ゆっくり昼飯を食べたことなど皆無だ

親父で三代目の桜坂興業

ありがたいことに業績は
去年より伸びている

そのおかげで19と言う年では
絶対に稼げない金額の金が毎月
俺の通帳に入ってくる

勿論、生まれてから金に困った事は
一度だって無い…

遊ぶ金も車も夜遊びの会計も
少々多い小遣いも全て親父が出して
くれている…

すなわち、、
俺の口座は溜まる一方で…

彼奴らがみたら驚くほどの金額が
入っている…

桜坂組の方もそうだ

組のことはまだまだ解らない事がある

親父はまだ40になったばかり

後、20年は組長のイスに座るだろう

俺は20年かけて組長になれば
十分間に合う

それに俺には可愛い弟がいる

早くふたりで仕事の話がしたい

組のことも相談しながら仲良く…

この先、一生
本当の兄弟として生きて行こうぜ!
< 8 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop