。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「酔っぱらってなんかない」
あたしは眉を吊り上げて戒を睨むと、戒は悲しそうに目を細めて小さく微笑んで誰にも見えない一瞬だけ唇に指を立てた。
「そうゆうことにしておけ」
とでも言いたいのだろうか。
いつもなら『二人きりなんて許さん!』って怒鳴り散らすマサも、あたしの異常とも呼べる態度に何も言い出せず…
「悪りぃな、メガネ。お嬢を頼む」
マサは困惑した表情のまま部屋の外を促す。
「はい。行きましょう。朔羅さん」
と言われるが早いか、
ふわりっ
体が浮き上がって、あたしは横抱きに抱えられた。
いわゆるお姫様抱っこってヤツで。
「お、おいメガネ!!そりゃダメだろ!」
とタクが怒鳴ったが、
「好きにさせろ。お嬢が落ち着いてくださるならな」
マサが制してタクがぐっと詰まった。
「キョウスケ、お前も念のためついていけ」
マサは歩き出した戒の背中を顎でしゃくってお見送り。
「……はい」
キョウスケはマサの言いつけを大人しく守り、あたしたちの後から歩いてきた。