。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
でも
一緒に住む―――ねぇ……
鴇田が一瞬にしろ何故そんな考えに至ったのかあたしには謎。
まぁ考えたってあいつの頭ン中なんて理解できないけど。
愛車のフェラーリで都内に位置する芸能プロダクションのオフィスに向かう最中、あたしは鴇田に言われた言葉を思い返して
赤信号が青になったにも関わらず、ぼんやりとしていたら後続車に派手にクラクションを鳴らされた。
そんなことを繰り返して、ようやく事務所にたどり着いたのはそれから三十分後だった。
小綺麗な建物で、スタイリッシュな感じのいかにも今風のビル。
そのビルの裏手には専用駐車場がある。そこに停車させて裏の出入り口から中に入った。
顔パスになっているけれど一応警備員さんに「おはようございます」と挨拶(芸能界では昼夜問わず一貫して挨拶は『おはようございます』なの)していると
「you!!待ってたのよ!」
と、マネージャーが血相を変えて走ってきた。
今にも倒れそうなぐらい顔が青い。
「何よ。一体どうしたって言うの?」
あたしの怪訝そうな質問にもマネージャーは答えてくれず
「いいから来て!」
と引っ張られた。