。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。



「あんたのせいよ!!この疫病神っ!!最初から大嫌いだった。


あんただって同じようなことしてるくせに!」


アイドルは尚も喚いていたが、彼女のマネージャーに止められ引っ張られていく。


「ルミ!もうやめよう!!youさんがリークしたって証拠はないじゃないか」


「証拠なんてなくてもあの女がやったに決まってるわ!


あたし知ってるんだからね!あんたが体を使って仕事を取ってたこと」


まぁそれは当たってるだけに何も言えないけれど。


でもあたしは誰彼構わない風俗嬢じゃないわ。


それに


「あたしは体も顔もメスを入れてないわよ」


言ってやると、アイドルは顔を真っ赤にさせて


「覚えてなさい!!必ずあんたを地獄に叩き落としてやるから!」


ヒステリックに叫んで、出て行った。と言うよりも連れて行かれた。


「何よあれ」


あたしはばら撒かれた写真の一枚を手に取り、まじまじとその写真を見た。


ゲラ刷りのモノクロではなくそれはカラー版の写真だった。


「結果的にあんたが主役になれて喜ぶ立場だけど、頭が痛いわ。


どう見たってあんたが有利な立場にあるからね。あんたの仕業だと思われても仕方ないわ」


「何よそれ、あたしはやってないわよ。第一そんな陰険なことする女だと思う?」


マネージャーの言葉にムっと反論したけれど、マネージャーを含め数人のスタッフたちは顔を見合わせ頷いた。


何よ!


「でも…この写真ホントうまく撮れてる」


マネージャーはあたしの怒りを無視して写真の一枚を手に取るとしみじみと言った。


「どうせどっかのパパラッチでしょ」


ふん、と言ってやると


「あんたも気を付けてよね。まだ名前が売れてないとは言え、十月に大きなイベントを控えてるんだから」


しっかり念押しされて、でもあたしもマネージャーもほとんど意識は他に向いていて……






「一体誰がリークしたのか」






その問題だけが残った。




「まるでオペラ座の怪人のファントムみたいね」


マネージャーが額に手をやった。


「あの売れない女優を舞台の主役にするために、主演女優を殺すってやつ?」


「そうよ。そのリークした人物はあんたの熱狂的なファンかもね」



熱狂的な―――ファン―――……










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