。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「な、何だよ!もぉ!びっくりさせんなよ!」
あたしはほっと胸を撫で下ろし、思わず戒を睨んだ。
「無駄にビビらせんなよ!」
「すまん、すまん」
戒は恥ずかしそうに謝ってきて、あたしもそれ以上は言えず。
てかコカインじゃなくて良かった~~~!
「でもさぁケーキの材料っちゃ小麦粉だろ??何に使うんだろ」
今度はそっちの方が気になりはじめた。
そのときだった。
「すみませんね、わざわざ着替えまでここまで届けてもらって」
とドクターの声が遠くで聞こえてきて、あたしたちは思わず顔を合わせた。
ドクターは誰かに語りかける口調で、その誰かは―――……
「オピウムの香り―――…」
戒がずっと気にしている香りに鼻をひくつかせて視線を険しくさせる。
「いつもすれ違いの生活だったから、こうして衛さんに会える口実が出来て良かったわ」
確かめるまでもなく
それはアヤメさんの声だった。