。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
キョウスケはまっすぐに自室に向かったのか廊下に姿は無かった。
素早いぜっ。
あたしと戒二人して廊下や階段をドタドタ。
「大体、まだ川上さんには話してないんでしょ!」
戒がメガネの口調になって聞いてくる。誰かに見られたり聞かれたりしても大丈夫ように。
「今から聞く!ってかおめぇ先に行ってキョウスケに変なこと吹きこもうとしてんじゃねぇだろうな!!」
「何さ、変なことって!僕は健全なデートを……」
「健全って何!?不健全なこと考えてたんかよ、お前!!」
「違っっ!!」
二人で言い合いをしながらキョウスケのお部屋の前にたどり着くと、
スラッ…
前触れもなく襖が開き、呆れたような表情で腕を組んだキョウスケが登場した。
「……よ、よぉ…!おかえり!!てか良く分かったな、あたしたちがお前の部屋に行こうとしてるってこと」
慌てて挨拶すると、キョウスケは心底迷惑そうに半目であたしたちをぎろりと一瞥。
こ、怖ぇえよ、キョウスケ。
「あんなに大声で痴話喧嘩されたら誰でも気づきます。
ところで、お二人そろって何なんですか。緊急会議?」
「おう!緊急も緊急だ!!キョウスケ、おめぇ明日の予定は??」
あたしがキョウスケを指さし聞くと
「明日は別の予定が入ってんだよな~響輔は」
と、戒があたしとキョウスケの間に割って入ってきやがった。
「まだ聞いてねぇ……」
言いかけた言葉を
「良く分かりましたね。明日は俺、デートです」
遮られた。