。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「「な、何やってんだよ、おめぇは!」」
あたしと戒の声が重なり、思わず戒からキョウスケを引きはがすと、
「だってバイ菌が入ったら化膿するかもしれへんし……消毒」と目をぱちくり。
しょ、消毒ぅ??
そっか…消毒か…
「てか、おめぇも紛らわしいことするな!あたしはお前が血迷ったかと思っちまっただろうが」
あたしはキョウスケの胸倉を掴むとキョウスケは降参のポーズなのか軽く両手を挙げる。
「血迷う?俺が戒さんにあらぬ気を起こした、と?」
そう聞かれてあたしは詰まった。
「あらぬ気っっっ!!!?」
ギャァ!
と、とにかく!
「おめぇも気を付けろ!簡単に空缶なんて触るな!」とあたしは勘違いが恥ずかしくて、戒に責任転嫁。
「「すみません」」と戒とキョウスケは揃って素直に謝ってぺこり。
何だってんだよ!
これじゃあたしが悪者みてぇじゃねぇかよ!
結局―――この一件は、キョウスケの謎の行動でうやむやになっちまった。
あたしもまたいつもの喧嘩かと思って気にしなかった。
戒があたしに怒鳴ったのも、あたしが怪我するかもしれないって心配してくれたからだ。
そう片付けるしかなかった。でも
何か―――
心の奥底でもやもやしたものがしっかりと鎮火されず、この後もこのくすぶりを抱えたままあたしはデートに出かけることになるのだ。