。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「戒―――――!」
朔羅も俺を見つけると、俺の名前を呼び駆け寄ってくる。
息を切らしながら、白い額に汗を浮かべながら、懸命に走ってくる。
その姿さえも可愛くて愛おしくて、今すぐ俺の胸の中にかき抱いて人目も憚らない濃厚なキスの雨を朔羅の桜色の唇に降らせたかった。
「彼女?なぁんだ、つまんない」女たちは口を尖らせて俺の元から立ち去った。
「まぁ彼女居るよね~あのルックスなら」と去り際に聞こえた台詞。
“彼女”と一言で表せるほど、朔羅は俺にとって簡単なものじゃないんだ。
俺は駆けてきた朔羅の腕を引き、その驚くほど華奢で柔らかな体を自分の胸に掻き抱いた。
「…か!戒っ!?」
突然の抱擁に朔羅が驚いたように俺の胸の中で声を挙げる。
「ちょっ!誰かに見られたら―――」
朔羅は小さく抗議したが、俺はその声を遮って
「かめへん。
朔羅は俺の女や。誰に何言われたって
俺の唯一無二の
存在や」
小さな朔羅の体を抱きしめて朔羅の髪を掻き揚げ耳元でそっと囁いた。
朔羅が長い睫を上下させて目を瞬かせる気配を、掻き抱いた胸の中で感じる。
俺の大好きなCherryBlossomの香りを
いっぱいに感じる。
「朔羅、ほんまに俺―――お前のこと
好きやで」
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