。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。


少しの間、響輔と鴇田が―――そうやって両者が睨み合っていた。


首元に回された響輔の腕に徐々に力が籠って気道が締め付けられる。息をするのさえ困難になってきた。


あたしは響輔の腕を掴み「きょ、響輔……苦し…」と切れ切れに言うと、鴇田がトリガーを引こうとしたのを細めた視界に入ってきた。


それと同時だった。


響輔があたしの背を押しだすように鴇田の方へ放りやった。


結構な勢いだった。思わぬ形で鴇田の胸の中に飛び込む形になり、鴇田があたしに気を取られてる瞬間、響輔がベッドに片手を付き、片足のキックが飛んできて、鴇田の手元の拳銃が宙に投げ出された。


響輔が狙った場所は的確だったのだろう。結構な威力があったと思われるのは、鴇田が蹴られた場所……手首から手に掛けてを軽く握っていたから。


「退け!イチ」


鴇田が乱暴にあたしを脇に避け、


「キャッ!」


あたしはサイドボードにぶつかった。





「一結!」




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