。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。



先輩は“話、合わせて”って目で語り、小さく頷く。


「違っ!単に幼馴染だよ」


慌てて先輩の話に合わせる。まぁあながち外れてないし。





「そー?ならいいけど。


お前は俺だけ見てればいいの」




先輩は至極真剣に言って、でも次の瞬間ふわりと優しく微笑み、あたしのおでこにそっと


キス。


え――――……!?


びっくりし過ぎて言葉も出ない。


「俺にヤキモチ妬かせようとしてるんだろ?しょうがないヤツだな。


俺だってお前しか見てねぇから」


そう言って先輩はあたしの肩に腕を回し、至極自然に歩き出して堂々と、問題の邸宅の前を素通り。


ストーカーはあたしたちと顔見知りだと気づかなかったようで


「何だぁ?痴話喧嘩か?」


とチンピラがにやにやして、


「見せびらかしやがって」とちょっと面白くなさそうに呟き


「……そうみたいですね。最近の若者は…」とストーカーが答えている。


その後、あたしたちはラブラブカップルを装って、その邸宅から遠ざかり、角を曲がり切ってその家が見えなくなったとき


「「はぁ~!」」


二人して大きなため息を吐き、その場にへなへな…したのはあたしだけで流石に先輩は腰を折り膝に手を当てていた。


「リコちゃん、ごめんな。でも肩に腕回してたから顏バレはしてないと思う」


てか突っ込むとこそこ!


もっと!!それ以前に!




おでこにチュー




なんてされたのはじめてだよ。




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