。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「ミラーハウスへようこそ」
と、フードとマント姿のスタッフが入口を促す。大きなフードで顔が見えないが、声と体型で男だと分かった。
「ここではお一人ずつの入場となります。
10分にお一人、と言うご案内です」
と言われ
え゛!一人!?
いくらアトラクションとは言え、ちょっと怖い。
あたしの気持ちを汲み取ったのか、戒はあたしの耳元で
「お前先行けよ。ちょっと進んで待ってろ。俺と合流しようぜ」
と、ありがたい提案。
それなら大丈夫かも。
あたしは促されるままミラーハウスに足を踏み入れた。
中に入るとすぐに小さな円形の小部屋みたいな所で
『ようこそミラーハウスへ。ここは無限に広がる鏡の世界。
君は無事この迷路を出られるかな』
と、男の声でアナウンスが聞こえ、
『さぁ行くがいい。
もう後戻りはできない』
アナウンスはそう続けて、その声が途切れると円形の部屋の一部の扉がギギっと不気味な音を立てて開いた。
入ってきた入口の方を見やると、当然ながら扉はしっかりと閉まっている。
―――後戻りはできない。
ごくり
あたしは生唾を呑み込み、ぽっかりと暗い洞窟のような入口の方へ歩いていった。