。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
4人掛けのファミレスのボックス席。向かいの席に響輔さんと進藤先輩。
そしてそれに向き合う形になったあたし。
進藤先輩は、エリナをストーカーしてる淫行コーチを見つけて尾行したことを響輔さんに説明。
「何でそんな危険なことを」と響輔さんの声のトーンが下がってあたしをちらりと見る。
眉間に刻まれた皺が一層深くなった。
昨日言われたばかりだし、学習しろよ、とでも言いたいのだろうか。
「いや!俺がリコちゃんを巻きこんじまったって言うか!
リコちゃんは最後まで止めよう、キョウスケの兄貴や戒の兄貴や姐さんに任せようって」
「そう……なんですか…」
響輔さんは声を和らげて、淡い笑みを浮かべた。
心臓の奥がキュっとなる。
あたし、響輔さんの笑った顔、凄く好きなんです。
改めてそう思った。
響輔さんはほんのり笑顔だったけれど、でもその表情をすぐに引き締めて
「戒さんとお嬢に連絡が着かないって本当のようですね」と響輔さんはケータイを取り出し
それでも持ってきたタブレットを開いて、
「でも戒さんのGPSは機能してる。ランド内をゆっくり移動中ですね。お嬢も一緒だと思うのでまず大丈夫でしょう」
と、あっさり。
てかGPSって普通ケータイに着いてるもんじゃないの??
響輔さんはあたしの疑問をよそに、タブレットに視線を落としながら、
「その“ヤクザの家かもしれない”場所は分かりますか?」
と、言って、地図アプリを開いた。
「えーっと……ここからそんなに離れてなくて…」と進藤先輩の指は地図の上を行ったり来たり。
見かねてあたしが
「ここです」
と、地図の一か所を指さし。
差された場所に覚えがないのか、響輔さんはしばらくの間唇に指を置いて真剣なまなざし。
その仕草がすごくセクシーで、
ああ、こんな目で見つめられたいな……地図アプリが羨ましい、と場違いにも思ってしまう。