。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
怪我の処置自体はドクターの言葉通りすぐに終わった。
「縫う程の怪我でもありませんので、消毒などで大丈夫でしょう」
そう言って丁寧に消毒して、包帯も巻いてくれた。
イケメンドクター……
たしか“ツシマ”と名乗ったか、そのドクターツシマは机上の紙カルテに何か書きこんで
「ついでなので、少し健康状態をチェックしましょう。
簡単な血液検査です」
と言われて、注射器を取り出すドクター。
健康状態のチェック??
あたしゃ至って健康だ、と言いたいけれどこないだ熱中症で倒れたし、最近頭痛が酷いし、ここできちんと診てもらうのがいいのかも。
採血をしながら先生は長い睫を伏せがちにして
「最近、どこか変わったことは?」
と聞いてきて
「変わったこと?」あたしが聞くと
「体調面です。眩暈がしたり、とか頭が痛くなったり、とか。あと、生理不順だったり」
と聞かれて
「あ、大丈夫です。ちょっと頭が痛いぐらいで…生理は……」
い、イケメンだけに言い辛い。
それを何と解釈したのか
「分かりました」とツシマドクターはにっこり頷き、
その笑顔に向かって
「あの……」
あたしは声を掛けた。
「はい」
ドクターが答える。
「実は最近……頭痛が酷くて……市販の鎮静剤じゃ効かなくって。
あんまり常用は良くないって戒が……あ、さっきの……」
ぐわっ!!
“カレシが”って何で言えねぇんだよ、あたしは!