。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「まぁどのみち鴇田の作ったシステムで大きな一歩を踏み出せた。
あいつの手腕は見事なものだよ。それは認めてやる」
だろうよ。
鴇田は俺が認めた唯一の男だ―――
あの男に不可能などない。
それぐらい俺も信頼しているし、一目置いている。
今の青龍会や龍崎グループがあるのも鴇田のおかげだ。
「あいつらは年明けには結婚する。祝儀を弾んでやれよ?
一本立たせてやれ」
俺が指一本を立たせるとタチバナは苦笑い。
「俺は招かれざる客なんじゃないか?式の招待状も届いてないぜ?」
「俺から言っておいてやる、美人の嫁も一緒に出席させるようにな」
そんなくだならない話をしていると、
コンコン
特別室をノックする音が聞こえてきた。
「入れ」
俺が短く命ずると
「失礼いたします」
渦中の人物―――鴇田が現れ、タチバナは『噂をすればなんとやらだ』と言った感じで俺を目配せ。
一方鴇田の方はタチバナを目に入れると、あからさまに表情を歪めて顔色を変えた。
ゴキブリか何かを見るような目つきでタチバナに向かって言った。
「珍しいお客だな」
「ご無沙汰してマス♪」
気持ち悪いぐらいの笑顔を浮かべてタチバナは手を挙げにやりと笑う。