。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
*戒Side*
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** 戒Side **
「何で“あいつ”が“ここ”に居んねん。
まぁ東京来い言うたのは俺やけど、それにしても昨日の今日やで。
盛岡には―――妹の方が行ったんか?」
朔羅を一人ここに置いていくのは心配だったが、でも『あいつ』が出張ってきたってことは大丈夫だ。
口の中でブツブツ言いながらも、御園医院の正面出入り口の自動扉をくぐるとほぼ同時だった。
自動扉の開閉の時間さえ惜しいと言った感じで、酷く慌てた様子で響輔が入ってきて、危うくぶつかる所だった。
「響輔?なん……
朔羅のこと聞いたんか?」
俺が目をぱちぱちさせていると、
「お嬢…?お嬢に何かあったんですか?」
と響輔は顔色を青くさせながら、俺の肩を力強く掴んできた。
何だよ、朔羅のことじゃねぇのか?
だけどその力が、響輔の動揺を物語っているようで、別件で来た、と言うことだ。
「どないしたん、お前。ごっつぅ顔色悪いで。それにそない急いでどこへ行くんや」
と聞くと
「一結が……」
響輔は声を震わせて、それでも先を言わず一刻でも早く病院の奥へ向かいたいのか多くを語らず、そのまま走り去っていく。
「ちょっと待てよ!あの女狐がどうしたって言うんだよ!」
俺も慌てて後を追う。
でも響輔は俺の言葉が耳に入ってないようで、ただただ、先を急いでいる。
久しぶりに見た。
響輔が必死な様子を―――
ほんま
何があったんや―――