。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
鴇田はちらりとタチバナを気にしたように視線をやると
俺の元へ近づいてきて、そっと俺に耳打ち。
ヒソッ
病室の窓に―――鴇田が俺に耳打ちしている姿が映った。
その口元は手で隠されていて、タチバナには見えないし聞こえない。
俺は鴇田の話に頷きながら目を開いた。
動揺を押し隠せないで居ると
「―――ご報告は以上です」
鴇田は小声で締めくくった。
「どうした?緊急事態か?」
タチバナが肩をすくめながら聞いてきて、俺は何でもないように片膝を立て宙を睨んだ。
「いや?お前にゃ関係ねぇ」
「それでは私はこれで―――」
鴇田が最後に「失礼します」と付け加えて、部屋を出て行った。
俺はきっちりその姿を見送ると―――
また視線を宙に投げかけ、鴇田の言葉を一人思い出した。
朔羅が―――
変わった
それはたった数時間で、今は通常通りらしいが
それでも何故―――
そんな劇的な変化があったのか……
ギリッ
俺はシーツの端をぎゅっと握った。
何故
俺を探していた。
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