。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
一連の会話を聞いて、もういっか、と言う感じで俺は部屋の外に出た(因みに出るときはIDをかざさなくていいらしい)
後ろを向きながら扉を閉めているときだった。
「Wow!ヒツジちゃん!」
と、フザケタ呼び名で呼ぶヤツぁ
出たな!変態タイガ!!
てか……タイミング良すぎ…
「何でおめぇがここに居るんだよ」
俺が凄むと、タイガは苦笑いで
「組長から連絡があったのさ~詳しくは知らないけど、イッちゃんが大変なことになったから今すぐ会社に戻れって」
俺は予告もなくタイガの胸倉を掴んで、壁に叩き付けた。
「じゃぁ何で事務所じゃなくここ居る。てめぇ、今までどこに居た」
まともに背中を壁にぶつけたタイガは痛そうに顔をしかめ
「どこって……ちょっと買い物に出てたんだけど…たまたま近くに居たからイっちゃんのお見舞い……」
買い物?
「どこへ行っとたんや」
とまたも聞くと
「デパートだよ。ちょっと野暮用で」とタイガは苦しそうに答え手に提げた紙袋をちょっと掲げる。
「野暮用?デパートだぁ?」
てめぇMIRACLEランドに居ったんちゃうんか!!
と怒鳴りたいのを何とか堪え、奥歯を噛み締めてると
「ちょっと頼まれたものがあって」とタイガが降参と言う形で両手を挙げる。それがどうやらこの紙袋に入っているものらしい。その紙袋はタイガの言うデパートのロゴが入ったものだった。
「頼まれもの?何やそれ」と問い詰めると、タイガは口を噤んだ。
いつもヘラヘラ適当なことを返してくるってのに、今回ばかりは違った。
こいつ、やっぱり……
「言われへんってことは、ほんまはデパートなんか行っとらんとちゃうんか!」
俺が怒鳴りこむと
「私にだって言えないことの一つや二つあるさ。
―――君たちのようにね。
大人を脅すのも大概にしたまえ」
タイガは真剣な顔つきと口調で俺が締めあげていた手首を握り、結構な力で上へ捻りあげられる。
くっそ!
身長の差もあってか、腕を捻りあげられたら何もでけへん……
と思ったら、大間違えやで!!
俺の脚力舐めんな!!
と、タイガの脇腹に膝を埋めようとしたが、それより早く……本当に秒の差だ。タイガの足がそれを阻止した。
「言っただろう?
大人を脅すのも大概にしろ、と。
二度目はない」
今までに聞いたことのない低い…怒気を孕んだ声で言われて、はじめて俺の背中に嫌な汗が伝った。