。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「ちっ」
俺は舌打ちしてタイガの襟を掴んでいた手を離した。
するとタイガは途端に
「ご、ごめんね!ヒツジちゃん!!本気にしないでね!!」
とわたわたしだす。
本気……?て言うかあれが本心だろうが。
くそ野郎。
俺の内心の悪態に気づいたのか、タイガは俺の周りをうろちょろ。
「…で?組長は…?」
と、今更ながら鴇田の不在を知ったタイガ(かく言う俺もはじめて気づいた)
「知らね。何かヒステリックな女が喚いてたから黙らすため、どっか行ったんじゃね?」
「ヒステリックな……女?」
タイガは目をパチパチ。
「イっちゃん以上に?」
「その“イっちゃん”以上にだ」
てか比べる対象があの女狐かよ。
「じゃぁ僕、もう事務所戻らないと!今日が龍崎グループの締日なんだよね~
だから中抜けして組長に大目玉食らうところだったけど、組長だって抜けてるじゃんね~」
フフっと口元に手を当てタイガはどことなく楽しそう。
こいつ……イチがどうなってんのか知らないのか?
俺が目を細めてタイガを睨むと
「Wow!またそんな怖い目で僕を睨んでぇ。
分かったよ、今日は事情があるし退散するね」
とタイガはひらひらと手を振って廊下を足早に去って行こうとする。
その余裕の態度が
気に食わねぇ。
「いいんか?
“カズノリ”がどうなっても」
俺は最後の切り札を出すことにした。