。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。





女―――



の声が聞こえてきて。抑えられた首を何とか捻って上を向くと、女の脚がタイガの顎をこれまた強烈な蹴り一つ食らわせた。


まさか天井から女が降りてくるなんてこと想定していなかったのか……と言うか俺ですらその気配に気付かなったぐれぇだからな、タイガだって気付かなったのだろう。タイガは後ろによろけて、そのおかげで俺は自由を取り戻したワケだが。


「何者だ!」とタイガが怒鳴り、その女の脚を掴んで引きずり落とそうとしたが


女は恐らく天井のダクトから侵入してきたのだろう、そのダクトの蓋部分にぶらさがったまま、これまた器用に逆上がりの要領で体を浮かせ、タイガのパンチは白い裾……と言うか白衣の裾の中に埋まり


「子供ん頃から言われへんかったか?


女には優しくせぇって」



女が腰を捻り、ピンヒールを履いた回し蹴りが、今度はタイガの頬に直撃して、タイガは今度こそひっくり返った。





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