。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
「お前ももう帰れ。鴇田の傍に着いててやれ」とぞんざいに言って手を振ると
キリはちょっと悲しそうに笑って、ゆるゆると首を横に振った。
「イっちゃんは―――きっと私が気に入らないんです。
もう、いっそのこと今回の結婚は見送って――……」
と言いだして
「それは鴇田と相談しろ。相手が違う」
と俺は冷たいと思われるような返答。だが、冷たいと思われようと、こればかりは俺がアドバイスや命令できることじゃない。
キリは俺の意見が不服だったのか、ちょっと苦笑いだけを浮かべて大人しくコーヒーカップの片付けを再開させる。
「まぁー、“俺の”意見としては
“結婚”て好き合ってるもん同士がするわけだろ?例え障害があろうがそれを乗り越えられる二人がするべきだ。
お前たちは、お前たちだけで乗り越えろ。
でも
一つだけ言いたいことがある。
俺は―――お前とヴァージンロードを歩きたい」
と俺が大真面目に言うと、今まで表情を強張らせていたキリが頬を緩め
「ぷっ」
と、吹き出した。
「何だよ、俺は変なこと言ったか?」
「だって……会長が私と?」
「普通は父親が歩くべきだが、お前には父親と呼べる男が居ないだろ?」
再び大真面目に言うと
「失礼ながら、ヴァージンロードを歩いてらっしゃる会長が想像できないです」
む!本当に失礼なヤツだな!