。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。


「だが、どうやる?Tに成りすまして、契約内容を更新させるのを」


タチバナがグラスに口を付けながら目だけを上げる。


「分からん。だがTとスネークの“会話”を聞いたのは、ほとんど偶然……奇跡に近い数字だな。


ヤツはフリーの殺し屋だ。雇い主が居て初めて動く。だがその関係に信頼や信用などない。


一枚岩と言うわけではない」


「こっちも一枚岩とは言い切れないがな。その“穴”を狙われたらお終いだ。


それにお前が飼ってるスパイが直接聞いたのか?」とタチバナが少し疑ったように目を細め


「いや、白虎のガキどもだ。


やはり、あなどれん。



それと―――白虎には俺たちにも知らない“隠し玉”……いや“切り札”と言った方が正しいだろうが、があるらしい。


虎間と鷹雄の二人からその話を聞いたことがないからな、敢えて隠しているんだろうが、今回ガキ共がそいつらにコンタクトを取ったらしい」


「らしい、って何だよ。てか“そいつら”?複数人居るんかよ。強襲部隊か?」とタチバナがわざとチャラけて言ったが


「部隊ではないし、二人だ。しかもどうやら


医者らしい」


「医者?ただの医者が何で隠し玉なんだ?」


「ただの医者じゃないんだろう」


「そいつらの存在を白虎は隠していた。恐らく緊急事態になるまで出さない予定だったのだろうが、それよりも早くガキ共が動いた」


「なるほどね~、ガキ共は知ってたワケだ。その隠し玉って言うヤツを。男か?女?」とタチバナがせっかちに聞いてきて、ちょっとうんざりしたように両手を挙げた。


「その両方だ。双子らしい」




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