。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
とりあえず、Tの正体はまだ不明、鴇田に探らせる、と言うことで落ち着いた。白虎の隠し玉については、近いうち必ずガキ共どちらかに接触するだろう。
「近いうちっていつよ」とタチバナが投げやりな感じで聞いてきて
「一週間以内、と言っていたようだ。あと、その双子に“盛岡”に飛べ、と指示したらしい」
「ふぅん、盛岡…ねぇ。
そこに何があるって言うんだ―――」
「さぁ俺にも想像ができん。ああ、そう言えば一ノ瀬のご内儀も故郷は盛岡だと言っていたな」
「一ノ瀬―――ねぇ……俺と彩芽さんが畑中組の倉庫の事件を横取りしたから、荒れてるんだろうな~」
「そうみたいだぜ?ご内儀はぶつぶつ愚痴ってた」
「てか何、お前ら何でそんなに親しいんだよ」
「何って、主婦(夫)友みたいな?」
「何だよ、主婦(夫)友って!」タチバナはゲラゲラ笑い
「うっせぇな!朔羅と一ノ瀬の倅が幼馴染だろ?朔羅の親父と百合香が逝っちまって、朔羅が小さい頃、子育て相談とかしてて…」
俺、ヤクザだよな。主夫じゃねぇよな。
と、改めて確認してみたり。
「そーゆーお前は?ガキは作るのか?」
言われっぱなしも癪だから、聞くと、タチバナはふっと寂しそうに笑った。
聞いてはいけないことだ―――と悟った。
タチバナの方はどうだか知らんが、嫁に問題があるんか。
「まぁいつか?養子縁組しようかと、お前みたいにな」
「そっか、だがそのときはよぉく考えろよ?戒みたいな倅は手に負えんからな」
俺が指さして忠告すると「ありがたい忠告どーも。ま、そんときはお前アドバイスしてくれよ。何せお前は一児の父親で、姪も立派に育て上げた。
子育て相談?とか」
「金用意しておけよ?はした金じゃ俺は動かん」
「あー、はいはい」とタチバナは適当に受け流す。
「なぁ、
結婚って―――
いいもんなのか?」
俺は目を上げてタチバナを見た。