。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。



先輩が連れていってくれたのは、使われていないだろう小さな倉庫だった。


前に朔羅と千里と龍崎くんと一緒だったとき絡まれたときのような規模じゃなかったけれど、


それでも、もう使われていないことは明らかだった。


電気は通ってないだろうけれど、かろうじて道路の横に街灯があるだけで、辺りはどんよりと薄暗い。


あたし……


またも選択誤った??


と、後悔。


今度こそ犯されるかも!!


と、今更ながら青くなってるあたしをよそに、先輩はマイペースに地面に座り込み、コンビニのビニール袋からビールの缶を取り出している。


そのプルタブを開けておいしそうに一口。


「あ、しまった!乾杯するの忘れてたワ!」と慌ててあたしの分の缶チューハイを手渡され


この人にそんな気がないことに気づいた。


今までたくさん話をしたけど、何気にあたしたち結構遊んでるし、でもそれ以上にあたしたちはよく喋った。


くだらないことで盛り上がった。


学校のこと、テストのこと、流行ったことやもの、ドラマやバラエティなんかのテレビ番組の話。


それこそ実のないものだったけれど楽しかった。


先輩はあたしが好きな福山雅治のモノマネをしてあたしを笑わかせてくれた。


二本買った缶チューハイが、残り1本にになったとき、先輩は花火セットを取り出して


「やろうぜ」とにかっと笑った。


「はい」


あたしは―――ちゃんと笑えただろうか。




< 378 / 439 >

この作品をシェア

pagetop