。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
病院だからか?電波が悪いみたいだ。
あたしは、何か言っているだろうタクの言葉を聞きとるため、階段を上がった。上に行きゃぁ何とかなるだろ、っと特に深く考えず昇って踊り場まで来たが、まだ電波の調子が良くない。
タクの声が途切れ途切れで聞きとり辛い。
「ああ、もぉ!」
と若干苛々しながら、上がるとF2と言う表示が出てきて、昇り切るとようやく
『もしもし!お嬢!!いかがされやした!?』
とタクの怒鳴り声が聞こえてきて、あたしは思わずケータイを耳から遠ざけ、耳を押さえてしかめっつら。
「大丈夫だ。電波が悪りぃみたい。怪我ても大したことねぇから、今マサが会計してくれてるとこ。出るときまた電話するから…」
と言いかけたところ
『お嬢!俺っすイチっす!』
何だよ、今度は壱衣か。
『どうされたんでぃ!出入りですか!応援必要ッスか!』
心配してくれるのはありがてぇけどよ……心配の方向違ってね?
「あー違う違う。出入りとかじゃなくて、ちょっと転んだだけだから」
と説明すると、壱衣は分かりやすくため息を吐いた。
やっぱ心配してくれてるんだよね、これって。