。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
やっぱタイガとおばちゃんが同郷だったってことは無さそうだ。
ただの偶然―――に、しちゃ出来過ぎてる気がするけど。
でもおばちゃんがあたしに嘘を着く必要はない。
ってことはタイガの方が―――?
思いっきり疑いの目でタイガを見上げていると、タイガの頬はちょっと赤くなっていたし、唇の端には内出血だろうか、赤くなっていて、唇から僅かに血が出ていることに気づいた。
「何だよ、お前。どっかで喧嘩でもしてきたのか?」
タイガにここまで痛手を負わせる相手ってことは、結構強いんだろう。
タイガは唇の血をそっと指でなぞり
「ああ…」と頷き、心ここにあらずって感じだ。
誰かから逃げてきた感じといい…
「お前、またなんかやらかしたんか?んで鴇田にやられたんか」
からかい半分で笑ったが、タイガはいつものへらへら笑顔を浮かべてなくて、ただ真剣に
タイガの手に握られたケータイ……いや、ケータイと言うより白へびさまのストラップをじっと見つめている。
「何だよお前」
訝しんで、あたしはタイガの手から強引にケータイを奪うと
「急いでるんだろ?早く行けよ」
と、顎をしゃくって階下を目配せ。
「……あ……うん」
とタイガは歯切れが悪い。