。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
そこで、僕はあらいざい話すことにした。
小料理屋の……椿紀が与えられた六畳の部屋で向かい合って。約四年後に会った椿紀は母になったからだろうか、はつらつとした明るさから、どこか強い意思を持つ立派な女性になっていた。
僕の産まれは盛岡で、そこは玄武の縄張りだったこと。玄武が造りだした最強の暗殺集団が“玄蛇”であること。やがて力を増した玄蛇の力に恐れを成した玄武が僕たちを皆殺しにしようとしたこと、父と母はすでに玄武の手で命を落としたこと、子供だった僕たちは何とか生き延びたが、それぞれ散り散りになったこと。
僕には双子の片割れが居る、と言うこと。
双子の役割が意味することを―――
僕は絶対に自身の片割れに椿紀の存在を知られたくなかった。それはまさに僕のアキレス。
何が起こるかそのときは想像もつかなったが、最悪の事態に備えて、いつでも片割れの手から逃げられる状況に置きたいこと。
守るものがあると―――ひとは弱くなる。