。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
またまた尾行!?
□ またまた尾行!? □
ファミレスに到着すると千里はすでに席に座っていて、あたしの登場に手をブンブン振って手招き。
思った以上に元気そうでほっ。
――――
――
「でもさ~あのおばちゃんが不倫とか…マジでありえなくね?
確かめるべきじゃね?」
アイスティーにミルクを入れて混ぜ混ぜしながらあたしが目を上げると
「お前なぁそんな簡単に聞けるかよ。『おかん不倫してる?』とか」
ま、まぁそうだよな……
違ったらかなり失礼だし、そうだったとしても本当のこと教えてくれるはずなんてない。
「それよりお前顔色ひどくね?大丈夫かよ……」
千里があたしを真正面から見据えてちょっと心配そうに眉を寄せる。
顔色“悪い”…んじゃなくて、〝酷い”ってあたしはどんだけ具合悪そうに見えるっつうんだよ。
てか今はあたしの顔色より自分ちの方が大変だろう。
ちょっと呆れたけど、確かに具合が良くない。
朝起きたときの頭痛がさらに拍車をかけて頭を締め付ける。
まるで鉛を打ち込まれたように重くてじりじりと痛む。
普段薬とか飲まねぇ方だけど、今日ばかりは我慢できなくて出てくるときに鎮痛剤を飲んできた。
少しは治まったように思えるが―――……それでもまだぎりぎりと締め付けるような痛さが完全に無くなることはない。
ま、他事考えてりゃそのうち痛みなんて忘れるだろ。
短絡的なあたしはそう結論を出して、再び千里に向き直った。
「な、なぁ……そんなことより、もし…もしもだよ!?おばちゃんとおっちゃんが離婚しちゃったら千里どっちについていくの?」
イヤな質問だったが、そうなることをある程度想定しておかなければならない。
あ…
考えるとまたも頭痛が……
忘れることだけはできそうにもない。
それでもその痛みに顔をしかめながら千里の次の言葉に耳を傾ける。
「どっちったって……やっぱ親父かなぁ……刑事なんてやってっけど。家の中じゃ一人じゃなんもできねぇし。
親父、靴下の入ってる場所すら知らねぇんだぜ」
千里は呆れたように肩をすくめて苦笑い。
あたしは
笑えなかった。
ぎこちなくこわばった表情で千里を真正面から見据えるのが―――精一杯。
その表情を読んで千里が
はぁ
盛大なため息を吐いてコーラをズズズと啜った。
「大人って勝手だよなぁ。
振り回される子供の身にもなってみろよ」
千里は頬杖をついて遠くを眺める。その横顔に、その言葉に―――
あれ……
こんなこと前にもあった…
と
ふと……本当にふと―――昔のことを―――
思い出した。