。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
*戒Side*
******************
** 戒Side **
あれから―――と言うのは朔羅が倒れたことを指して、三日が経った。
三日間、朔羅にはバイトを休ませた。
『たかだか日射病ぐらいで過保護だ』
と、本人はプリプリしていたが、彼氏なんだし彼女を心配して何が悪い、ってことで開き直っている。
朔羅が撮った動画の解析は難航していて、響輔も頭を抱えていた。
『タブレットじゃ限界がありますからね』らしいが……
問題を抱えたまま依然解決策は見つからず―――
朔羅の方は三日間、これと言った症状も現れず―――元気に…(いや元気過ぎるほどだけど)している。
こちらの方も今のところ問題なし、のように思えるが。
それでもいつ発症するか分からなくて、俺は未だに朔羅にあまり近づけないでいる。
―――――
――
俺は一人もう何十回目になる電話の録音をイヤホンで聞いていた。
スネークとの通話記録だ。
だがこちらも何のヒントも得られず……
繰り返し繰り返し録音を聞いて、もう台詞の一言一句まで間違わず言えるようになっちまったぜ。
何度目かの録音を聞いているとき、
駅の改札の向こう側に進藤が現れた。
相変わらずへらへらとしまりのない笑顔で手なんて挙げている。
進藤を呼び出したのは俺。
「兄貴っ!お久しぶりっす!!」
進藤は大げさに挨拶して改札を潜り抜けると俺の元へ走ってきた。
久しぶり、と言うほどの間じゃないが―――まぁ小さいことは突っ込まないでおこう。
と言うか一々突っ込むのが面倒だ。
「よ。悪かったな呼び出して」
「いえ!兄貴からの呼び出しならたとえ火の中、水の中っ!」
進藤が目をキラキラさせて勢い込んできて、
こいつなら本当にやりそうだ―――と俺は目を細めた。
「じゃぁさー
悪いけど、俺についてきてくれる?」