。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
田崎―――って言うのは、俺と川上が一緒に居るときに尾け狙ってきたヤツだ。
川上曰く、田崎はバスケ部のエースで校内にファンクラブまであるモテ男だとか。
『田崎先輩…?うん、知ってるけど』
新垣 エリナは不思議そうに首を傾げ
「前に付き合ってたの?」
ズバリ、俺が聞くと
『ぇえ!ないよ!!』
と慌てて手を振る。
『あたしがまだテニス部のとき、雨で室内練習のときに2、3回会話しただけ』
そっか―――
あいつもなぁんか勘違っちゃった可哀想な男だな。
新垣 エリナが気を持たせるような言動か行動を無意識のうちにやっちまってたのか―――それだったら分かるけど。
「じゃ、いいワ。しっかり戸締りして早く休めよ」
俺が最後にそう締めくくると
『うん、ありがとう』
またも新垣 エリナは小さく微笑んで手を振ってきた。
俺も振り返す。
気を持たせるような言動か行動を無意識のうちにやっちまってたのか―――……
まぁその線が濃いよな……何て言うの??無自覚なうえ天然入ってるしな…
朔羅のような妙な警戒心が無い分、勘違っちゃう男も居るんだよな。
新垣 エリナは俺の言いつけ通り、すぐにカーテンを閉め部屋の奥に引っ込んだ。
それをきっちり見届けて
さ、パトロールすっかぁ。
新垣 エリナの家と反対方向に足を向けると、隣でブンブン進藤が手を振っていた。
進藤……
「お前・は!馴れ馴れしいんだよ!!はよ行くで!」
俺は進藤の首根っこをひっつかみ、今度こそパトロールすることを決意。