。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。
でもその不安も徐々に治まってきた。
鎮痛剤を飲んでから五分と経ってないのに、「薬を飲んだ」と言う安心感か、幾分か冷静になったあたし。
心細かったらマサについてきてもらえばいいじゃん。
風邪なんて滅多にひかないから不安になっちゃって、バカなあたし。
それとも日射病の後遺症かな…
と考える余裕も出てきた。
別に戒がちょっとぐらい居なくても大丈夫だもん。戒が―――
戒のことを考えていると
「朔羅――――」
台所の入口で声が聞こえた。
戒の声だ―――
「朔羅」
戒があたしを呼んでいる。顔を上げると、台所の入口に戒が立っていて―――
戒は少しだけ悲しそうに複雑な笑みを浮かべて、こちらを眺めていて
でもいつもの戒―――
その姿に頬が緩んだ。
「戒……」
やっぱり
ちょっとでも居なくなっちゃったら
やだよ。
いつでも視界におさめておきたいんだよ。
「戒!」
あたしは戒に飛びついた。