godlh
―――彫野君ってケンカ強かったよね?それが背中に足跡なんて、もしかして負けたの?だとしたら、プライドの高い彫野君・・・機嫌悪くなっちゃうよ。
「ち、違うよ。ちょっと、そこで転んじゃってさ。その時に、後ろから走って来た人に踏まれちゃったんだ。おまけに、その人、謝りもしないでどっか行っちゃってさ。ひどい話だよね。」
ちょっと無理があると思ったが、とてもじゃないが人間にやられたなんて事は言えなかった。イラつきを押さえに、押さえ、そう梢に嘘を言った。
「そ、そうなんだ。」
彫野の機嫌が悪くならなくて、梢はほっとした。
「なんか、ひどい話だね。警察とか行ったら?」
「ううん。いいよ。」
「なんで。だって、眼とか真っ赤だよ。怪我とかしたんじゃない?」
「いいって。もし、怪我をしてたとしても、今、君といる事が一番の薬だから。」
「えっ。」
あまりに意外な言葉に、梢はそれ以上言葉を続ける事が出来なかった。でも、あまりに意外に思い通りに事が進み、笑いを堪える事が出来なかった。笑い声が聞こえない笑顔が、彫野の顔を捉えていた。
だんだん、彫野の顔が近づいてきた。そして、見えなくなった。
「ち、違うよ。ちょっと、そこで転んじゃってさ。その時に、後ろから走って来た人に踏まれちゃったんだ。おまけに、その人、謝りもしないでどっか行っちゃってさ。ひどい話だよね。」
ちょっと無理があると思ったが、とてもじゃないが人間にやられたなんて事は言えなかった。イラつきを押さえに、押さえ、そう梢に嘘を言った。
「そ、そうなんだ。」
彫野の機嫌が悪くならなくて、梢はほっとした。
「なんか、ひどい話だね。警察とか行ったら?」
「ううん。いいよ。」
「なんで。だって、眼とか真っ赤だよ。怪我とかしたんじゃない?」
「いいって。もし、怪我をしてたとしても、今、君といる事が一番の薬だから。」
「えっ。」
あまりに意外な言葉に、梢はそれ以上言葉を続ける事が出来なかった。でも、あまりに意外に思い通りに事が進み、笑いを堪える事が出来なかった。笑い声が聞こえない笑顔が、彫野の顔を捉えていた。
だんだん、彫野の顔が近づいてきた。そして、見えなくなった。