godlh
逃げるように
 とても、ぐっすり眠れたとは言い難かった。
 いつもより早く目が覚めてしまった事や、昨日、なかなか眠れなかった事、そのせいで、あゆみの瞳は充血しきっていた。
 「はぁ、ひどい顔。」
 そんなあゆみを、さらに憂鬱にさせる事を思い出した。
 昨日の事を、あゆみが知っているなんて事は、彫野は知らない。きっと、いつもの時間に、素知らぬ顔で迎えに来るに違いない。それだけは、避けたかった。
 食事もろくに摂らずに、あゆみは慌てて家を出た。
 「おばあちゃん、いってきます。」
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