godlh
「どうかしたの?」
梢が声を掛けた。心配している風の言葉とは裏腹に、その表情はとても笑顔だった。
「なんでも・・・。」
さっきの事で、動揺している彫野に、梢に構う余裕はなかった。
「何、その態度。昨日は、あんなにやさしかったのに・・・。」
彫野の腕に手を回し、甘えるような声で言った。
「あのさっ。」
「あゆみとケンカしたんでしょ。理由は知らないけど・・・。でも、私なら彫野君を困らせるような事はしないけどな。」
軽く胸を押しつけた。これには、さすがの彫野も悪い気はしなかった。
「ケンカなんかしてないよ。」
「それにしては、不機嫌な感じがするけど。」
「そんな事ないって。」
「じゃ、梢がこうしてても、怒らない?」
胸がさらに押しつけられた。
動揺している事と梢の胸の感触が、彫野の考えをおかしな方向へと導いた。
「もちろん。構わないよ。」
押しつけられた胸が動くたびに、彫野の顔は少しずつにやけていった。
< 131 / 206 >

この作品をシェア

pagetop