godlh

嫉妬

牧原梢と鮎瀬リアは、待ち合わせをしていた。
「おはよう。梢。」
「おっはよう。」
元気な梢の挨拶は、静かな朝の団地に響き渡った。
「ごめんね。迎えに来てもらっちゃって。」
「気にしないで。梢、朝、弱いもんね。」
リアは、そう言いながら、にっこりと微笑んだ。そして、そんな表情とは、対照的に梢の手首を力強く掴み引っ張った。
「早くしないと、間に合わないよ。」
梢が寝坊したせいで、待ち合わせ場所が、駅からこの梢の住む団地に変更になっていた。だから、予定していた電車に乗れなかった。その遅れを少しでも取り戻そうと、リアは梢を思い切り引っ張ったのだ。
「いてて・・・。リア、わかったから手を離してぇ。」

ふたりは、駅へ走り出した。